
紀北式ハイブリッド養殖
気中曝露と酸素循環で生存率を変える
■ 1. 事業の目的
世界に存在しない新しい牡蠣養殖システムを開発し、 和歌山県紀北の海で国の支援を受けた
環境変動下での生存率向上を目指す革新的アプローチ実証実験。
気候変動で悪化する海の環境に適応し、持続可能な牡蠣養殖を実現する。
■ 2. 背景:世界的な海の環境変化
近年、世界中で海水温の上昇が進み、ここ日本の海でも環境が大きく変化している。 和歌山県紀北の牡蠣養殖も例外ではなく、数年前から被害が発生。
改善策を講じ対策を行ってきたが、 昨年9月の異常高温 を引き金に、過去にない甚大な被害を受けた。
■ 3. 被害の主な原因(3つ)
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海水温の上昇
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海水の低酸素化(貧酸素)
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栄養不足(貧栄養化)
この3つが重なることで、養殖牡蠣の生存率が大きく低下している。
■ 4. 気づき:地元の天然種は養殖エリアより“最悪の環境でも生き残る”
驚くべきことに、 地元で自然付着した牡蠣(天然種)は、最悪と言われる環境でも生存率が非常に高い。
3倍体種苗仕様によるバスケット養殖での生産率が高い報告。
この事実が「どうすれば養殖牡蠣の生存率・生産性を上げられるか」という研究意欲を強く刺激した。
■ 5. 課題分析と改善可能なポイント
養殖エリア全体の海水温を下げること、海水中の栄養環境を改善することは現実的に難しい。 しかし、次の2つは技術的に改善可能と判断した。
● ① 牡蠣を鍛える:水中 ↔ 気中の上下移動(浮沈式筏)
筏を浮かせたり沈めたりすることで、牡蠣を気中に出し、 強い殻・強い体質を持つ牡蠣に育てる“鍛える養殖” が可能。
● ② 海水中の酸素量を増やす:エアーリフト装置
30年の潜水作業経験を活かし、 作業ダイバーが手作りするエアーリフトで海水を循環させ、酸素量を増加させる。
■ 6. 開発した新しい養殖システム
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20年以上の漁師経験
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30年の職業ダイバー経験
この2つを掛け合わせて生まれたのが次のシステム。
● 浮沈式筏 × エアーリフト循環装置のハイブリッド養殖システム
目的:牡蠣の生存率を最大化するための“環境改善”と“牡蠣の強化”を同時に行う。
■ 7. 実証実験の意義
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気候変動に強い牡蠣養殖のモデルになる
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和歌山県紀北の海の再生につながる
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地元種の強さを活かした新しい地域ブランドの創出
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世界にない独自技術として発展可能
国の支援を受けて始まるこの実験は、 未来の牡蠣養殖を変える可能性を持つ挑戦 である。
🌊 紀北式ハイブリッド養殖とは?
気候変動で厳しくなる海の環境に負けない、 新しい牡蠣養殖のかたちを紀北の海からつくっています。
私たちは、
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筏を上下させて牡蠣を鍛える「気中曝露」
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海水を循環させ酸素量を増やす「エアーリフト」
この2つを組み合わせた、世界初のハイブリッド養殖システムを開発しました。
🐚 試験養殖がスタート
まずは宮城県産の牡蠣種を使い、試作筏で実証実験を開始。 海の変化に強い牡蠣を育てるためのデータを集めています。
🔥 次のステップ:3倍体カキの導入
高水温に強いとされる「3倍体カキ」を取り入れ、 夏でも育つ・年間出荷できる牡蠣づくりを目指します。
🌱 地元種の採苗も強化
中国電力の「牡蠣ナビ」を活用し、 地元の牡蠣が付着するタイミングを科学的に把握。 採苗作業が簡単になり、新しい生産者も増やしやすくなります。
🛠️ 目指す未来
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生存率の高い牡蠣を育てる
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年間を通じて出荷できる体制をつくる
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生産者を増やし、地域漁業を元気にする
紀北の海から、新しい牡蠣養殖の未来をつくっていきます。